駅前民宿を陰で支えたおばちゃんの御主人が…。

「あなたはその営業施設において食品衛生法をよく守り、食
品衛生の向上に寄与されました。よってここに賞します」

少し色褪せたものの、こう書かれてある一枚の賞状を浦河地
方食品衛生協会の当時の会長さん(浦河町老舗お菓子やさん
の手取さん)から受け台所の壁に貼ってあります。

私がこの駅前民宿に嫁いだ時、もう既にここにはおばちゃん
が居て、民宿内の掃除を一手に引き受けて黙々と働いてくれ
ていました。
この受賞は平成10年４月でしたが、これはひとえにおばちゃ
んのお陰だと感謝しています。

よく「掃除が行き届いていて…気持ちが良かったですよ～！
」と宿帳に書き残していったお客様もいらっしゃって、これ
もみんなおばちゃんのお陰。
よくお父さんは「古ければ古いなりに…、新しければ新しい
なりに…、手を抜かず…、民宿内のあっちこっちには余計な
ものを置かず…、スッキリと…」と。

それをしっかりと守り、手を抜かず、毎日コツコツと、淡々
とキレイに掃除をしてくれたおばちゃん。
御主人の退職の年に合わせて円満退職をしたおばちゃん。
今も青森県深浦生まれの東北弁の訛りが残る話し方で、私達
にあうと決まってお父さんを「旦那さん！」私を「おがみさ
ん！(おかみさんの意)」って言ってくれるおばちゃん。
そんなおばちゃんが物静かな旦那さんと寄り添って仲良く老
後の生活をしていたのに…５月２８日夕方、その大切な御主
人が亡くなりました。

３月の半ば過ぎ「おがみさん。うちの旦那、あと２ヶ月なん
だって。」って私に打ち明けてくれたあの日からみたら「お
ばちゃん、一回り小さくなってしまったね～」
今夜はお通夜、明日は告別式、忌中引き。

「お客様にはご迷惑をお掛けしますが宜しくお願い致します」


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